【特集】スペシャル・インタビュー 日本の医療人(1)歯科医師 山崎長郎先生 1

アメリカでインプラント治療と出会った

「1990年代、南カリフォルニア大学の先生方もインプラント治療に取り組み始めたのですが、その時、私も、その場にいたのです」と、お忙しいなかインタビューに応じてくださった山崎長郎先生は、自身の歯科医院の応接スペースで語り始めた。
先生は、留学生ではなかったが、7年間、南カリフォルニア大学で学んでいた。1970年、26歳からのことだ。毎年1、2か月ほど滞在し、本多正明先生(SJCD副会長、大阪で開業中)と2人だけの“遊学”、主な目的は「咬合」だった。審美歯科の概念はまだなく、「ナソロジー」という学問が注目を集めていた時代で、先生も「噛み合わせ」の追求に集中していた、という。ナソロジーは歯周と補綴の関係というテーマにつながっていく。
「今から24年前になりますが、スウェーデンのペル・イングヴァール・ブローネマルク博士がアメリカで講演しました。これを契機に、南カリフォルニア大学ではインプラント治療がスタートしました。私のインプラントとの関わりも、この時に始まったのです」 その後、山崎先生は、20人、30人の研修団を率いて渡米するようになり、インプラントは日本でも広く知られ、また習得されていくことになる。
 

インプラント治療の開始

「最初に手掛けた時のインプラントシステムは、ブローネマルクインプラント(ノーベルバイオケア社)でした。私どもの原宿デンタルオフィス(1974年開業)で研修を受けて、ライセンスを取得してスタートしました」
その後、ストローマン(ストローマンジャパン社)、それからスリーアイ(バイオメット3iジャパン社)。そしてもう一度ブローネマルクインプラントに戻り、現在に至っているという経緯を教えていただいた。
 

先生、インプラント治療の現状を、
どうお考えですか?

「課題は多く、悲しいですね。トラブルを発生させてしまう歯科医師、治療を躊躇する生活者、マイナス面の報道、厳しい状況になっていると思います」ほんとうに残念そうに、先生は解説してくれた。
通り一遍の教育をうけただけで、しっかりとした習得・習熟もなしに治療してしまう歯科医院があり、それが理由でトラブルが発生している。事実なのだからメディアにとりあげられても仕方がない。この影響でインプラント治療を遠ざける生活者が増えれば、インプラント業界は厳しくなってしまうのだ。「そして、消費税が上がれば、治療費を考えて、本格的なインプラント治療を避ける傾向が強まるのではないでしょうか」と先生は分析する。
ただし「みなさんの口腔環境が良好だから、歯科が厳しい」という、“生活者の良い点”にも言及していただけた。歯科医がみる患者さんの口腔環境は、昔と比べるとかなり良いのだそうだ。「歯の欠損が多くある患者さんは少ないです。団塊の世代の方々をみても、ウェルフェアへの理解が深まり、それなりのお金をかけてきちんとケアしている人は多い。口腔の健康に対するニーズは、おおかた一回りしたように思います」。また、その下の世代になると、口腔環境はもっと良好で、欠損している人さらに少なくなるという。これは実感できるお話で、歯科医院をとりまく状況の厳しさが、よくわかる。
「インプラント治療は正しく導入されなければいけない。けれどもその前に、基本的な治療がきちんと確立している必要があるのです」
「基本的治療が的確にでき、その上にインプラント治療が習得される、さらに幅広い医学全般、そして人格」この理念の実践が『SJCD(Society of Japan Clinical Dentistry)』。先生のお話は続く…。

次に、スタディグループ SJCDとインプラント以外の治療についての山崎先生のお話をお届けします。

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