薬と食事の関係について

先日、「今朝はご飯をとらなかったから、薬を飲まなかった」という患者さんがいました。どの薬も理由があって飲むものであり、食事をしないから薬を飲まないと安易に判断するのは危険を招く場合があります。薬の用法には食事とのタイミング(食前・食後・食間など)が決められていますが、食事というのは必ずしも規則的に3食とれるものではないため、このような患者さんもよく目にします。ここでは、薬の効果と食事の関係について解説いたします。

薬を飲んでから吸収されるまで

薬を飲むと、体の中では次に示す行程で体内に吸収されます。
1. 食べ物と同じように食道を通過します。
2. 胃に到達し、胃酸により錠剤の形が崩壊、その後、溶けます。
3. 小腸に到達し、吸収され、血液中に到達します。
4. 血液から全身へ運ばれ、目的となる効果が現れます。
この吸収過程において、食事はどのように影響するのでしょうか。

 

食事が薬へ与える影響

薬が吸収されるまでにかかる時間
空腹時の場合、一般的に薬は速く吸収され、効果は速く現れます。食事をとったすぐ後は胃の中に食べたものが多くあるので、薬はゆっくりと小腸に到達し、効果が現れるのは遅くなります。食後30分たっていると、胃の中に残った食べ物は減っているため、薬の吸収への影響は減ります。

薬が吸収される量
脂に溶けやすい薬は、脂っこい食事であればより多く溶け、多く吸収されます。また、食事によって消化液の量や消化管の血流が増え、より多く吸収される場合があります。薬によりますが、吸収をよくするために食後服用となっている場合や、逆に、食事による影響を避けるために空腹時に飲むことが決められている場合があります。

薬による胃腸障害の軽減
食前で胃が空っぽの場合は、薬による胃腸障害が起きやすくなります。解熱鎮痛薬など、胃に負担のかかりやすい薬は食後に服用するほうが、胃腸障害の副作用を軽減することができます。

薬と食事の相互作用による影響
例えばニューキノロン系抗菌薬では、牛乳やヨーグルトに含まれるカルシウムと薬の成分がくっついてしまうことにより、体内に吸収される量が減少してしまいます。その場合は薬の効果が弱くなってしまうので、食間にずらすなど飲み方を工夫する必要があります。

 

正しく薬を飲み続けるために

薬の用法は個々の薬の性質をもとに、吸収への影響や胃腸障害、相互作用などを考慮して決められます。しかし実際は、薬を食後に飲むか食前に飲むかで、吸収に違いが出たとしても、その効果にはさほど影響がでない場合が多いです。
そのため、冒頭の患者さんのようにご飯をとらなかった場合も、食事にとらわれず服用を勧める場合が多いです。しかし、糖尿病の薬で食事をとらずに服用すると低血糖を起こしてしまう場合など、食事が必要となる薬もあるため、事前に医師または薬剤師に十分な説明を受けるようにしてください。
指示されたように飲むのが不都合で、飲み忘れてしまうということがあれば、薬剤師に遠慮なく相談して下さい。薬の効果を保つために用法を守らなければいけないこともありますが、他の用法に変えられることもあります。私たち薬剤師は個々の薬の性質を考慮しながら患者さんのライフスタイルにあった飲み方を提案していくことも大事な役割と考えています。

Categories: くすり

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