生活習慣病と眼

生活習慣病には高血圧・糖尿病・脂質異常症(高脂血症)などがあります。これらは全身疾患であり、体中にいろいろな病気を引き起こしますが、全身の一部として眼にも病気が起こります。

高血圧から視力障害をきたすこともあります

現在では高血圧から視力障害をきたすことは多くはありません。しかし血圧のコントロールが不良の場合には視力障害の起こることがありますので注意は必要です。治療は内科的な血圧のコントロールが主体になります。

糖尿病はいろいろな眼の病気を起こします

糖尿病網膜症が代表的な疾患で、糖尿病網膜症は緑内障と視覚障害の1位・2位を争っております。糖尿病はその他にも角膜症・虹彩炎・白内障・緑内障・視神経症・眼筋麻痺・屈折異常などさまざまな疾患を起こします。なお糖尿病による眼疾患は糖尿病になってすぐに起こるわけではなく、血糖のコントロール不良の期間が何年も続いてから起こってきます。

糖尿病網膜症はゆっくりと進行して悪化します

単純網膜症・増殖前網膜症・増殖網膜症と進行します。日本で最も使用されている福田分類では良性網膜症・悪性網膜症と進行します。単純(良性)網膜症では網膜出血・網膜白斑などがみられます。増殖(悪性)網膜症では硝子体出血・網膜剥離・血管新生緑内障などが起こり放置すると失明に至ります。増殖(悪性)網膜症の後半、すなわち末期になるまで視力低下などの自覚症状がないことも多く、手遅れになる原因のひとつとなっております。ただし黄斑部(網膜の中心部)に黄斑症が起こると、単純(良性)網膜症のうちから視力低下の起こることもあります。治療としては網膜光凝固術・硝子体手術などがありますが、一度視力低下をきたすと回復は難しいことも多くみられます。前述のように糖尿病網膜症は糖尿病に罹患後何年もたってから起きてくるので、健康診断や人間ドックなどで糖尿病を早期に発見し、放置せず、血糖のコントロールを良好にすることが大事です。また自覚症状なく悪化するので、年に1回なりの定期検査を受けることが重要です。このことは糖尿病網膜症に限らず、糖尿病性腎症・糖尿病性神経障害などの糖尿病合併症についてもあてはまります。

脂質異常症は眼の病気の危険因子です

すべてが原因というわけではありませんが、脂質異常症は動脈硬化を進行させて網膜中心動脈閉塞症・眼虚血症候群・網膜中心静脈閉塞症などの危険因子となります。なお高血圧・糖尿病でも動脈硬化が進行するため、これらの疾患が起こりやすくなります。

網膜中心動脈閉塞症は予後不良です

脳の動脈が閉塞すると脳梗塞、心臓の動脈が閉塞すると心筋梗塞ですが、網膜の動脈が閉塞するのが網膜中心動脈閉塞症です。網膜中心動脈が分枝する前の部位で閉塞すると急に視野全体が見えなくなります。網膜中心動脈が分枝した後の部位で閉塞する網膜中心動脈分枝閉塞症では、やはり急に視野の中に見えない部分が出現します。すぐに治療を開始できれば回復することもありますが、現実的には回復が難しいことが大部分です。

内頚動脈閉塞症で眼虚血症候群が起こります

網膜中心動脈の血流は心臓から内頚動脈・眼動脈を通って来ています。従って内頚動脈閉塞症などがありますと網膜中心動脈の血流が低下し、網膜中心動脈閉塞症や糖尿病でみられるような血管新生緑内障などが起こります。これが眼虚血症候群です。これも治療に抵抗する予後不良な疾患です。

網膜中心静脈閉塞症という静脈が閉塞する病気もあります

網膜中心静脈閉塞症では網膜出血などが起こります。網膜中心静脈が分枝する前の部位で閉塞すると網膜全体に、網膜中心静脈が分枝した後の部位で閉塞する網膜中心静脈分枝閉塞症では網膜のほぼ1/4に網膜出血などがみられます。黄斑部に病変が及ばない場合には自覚症状の起こらないこともありますが、黄斑部に病変が及ぶと視力低下をきたします。糖尿病網膜症がゆっくり進行するのとは違い、網膜中心静脈閉塞症は急激に発症しますが、経過などは糖尿病網膜症と類似する点も多く、検査や治療もほぼ同じです。一度視力低下をきたすと視力回復は難しいことも稀ではありません。

生活習慣病による眼の病気の予防

生活習慣病による眼疾患には難治性の疾患が多く、治療により失明はまぬがれても視力は回復しないことも多くみられます。従って生活習慣病にならないように予防することが最も大事です。また生活習慣病に罹患しても、すぐにこれらの疾患が起こり視力障害をきたすわけではないので、早期発見につとめ、適切な治療を受け、かつ生活習慣の改善を行うことにより視力障害を予防することが可能です。このことは生活習慣病による脳梗塞・心筋梗塞などの合併症に関しても同様です。

Categories: 医科

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