【リポート】ユニバーサルツーリズム促進の担い手。 株式会社エイチ・アイ・エス(H.I.S.)バリアフリートラベルデスク1

高齢者や制約の有無にかかわらず、誰も気兼ねなく参加できる旅行を目指して、観光庁はユニバーサルツーリズムの普及・促進を加速している。その検討会のメンバーであるH.I.S.バリアフリートラベルデスク所長の伴流高志氏にお話を伺った。ご高齢で体力に自信がなく不安を感じている方、障がいがある方の専門デスク『バリアフリートラベルデスク』では、どのようなサービスが提供されているのだろう。高齢者や障がいのある人が、どんなふうに旅を楽しむことができるのだろうか。

 例えば、要介護になった父親を旅行に連れていきたいとする。趣味が水彩画だった父親は、元気な頃、全国あちこちへスケッチ旅行に出かけた。お気に入りの美術館と温泉。足腰がめっきり弱り、自立歩行が難しい父親を旅行に連れ出す不安。ユニバーサルデザインのホテルを探す。移動手段はどうする。温泉は大丈夫か。美術館でトイレは…。考えたらきりがない。そして、「人の迷惑になるなら行かない」と言い張るだろう父親。
 ハードルが高く、諦めようとした矢先に、ご高齢で体力に自信がなく不安を感じている方、障がいがある方の専門デスク『バリアフリートラベルデスク』を紹介されたら、まずは相談してみようと誰もが思うでしょう。

バリアフリートラベルデスクは、「お客様のご要望に、よりスピーディーに、
より的確にお応えしよう」と2002年に、設置された専門デスクだ。

車いすの方、聴覚障がい 視覚障がい 知的・発達障がい 内部障がいのある方々といった多くの人がバリアフリートラベルデスクの旅に参加できる。
 中でも多いのは足に不安をかかえる人で、8割にのぼる。日常的に車いすを利用する人だけでなく、旅行先で必要になる人もいるからだ。美術館を歩く、空港で長い時間待つなどで、旅が不安な人にも車いすを用意する。
 バスの乗り降りが難しいようであれば、現地の係員や添乗員がおんぶや抱っこをしたり、段差があるところではみんなでお手伝いしたりもするという。『お客様の「旅の夢」を全力でお手伝いします』というマインドの実践だ。だから、特別な装備の車両が準備されなくても、旅をしたいというリクエストも多い。正確な情報提供・お客様の検討・ベストな旅の環境整備という綿密なステップを踏むので、トラブルが発生したことはないという。

 

アレンジ自由自在のパッケージツアー『Ciao』を特別にアレンジしたり、
バリアフリートラベルデスクの主力商品『旅なかま』を企画したり、
プロフェッショナルとして幅広く対応している。

 『Ciao』は、一般のツアー商品でありながら「何らかの障がいがあって旅に不安を抱えている人」からお申し込みをいただいた場合でも、部屋のタイプを選んだり、空港からホテルまでの送迎車両を特別な車両に変更したりなど、個人個人に合わせたアレンジをしてくれる。
 「できる範囲でさせていただいておりますが、障がいがあるお客様を対象には作られていませんので、どうしても限界がございます。それをカバーするのが、我々バリアフリートラベルデスクが提供する『旅なかま』です」とのこと。
 『旅なかま』は、お客様にきちんと合わせて企画され、添乗員が同行する旅だ。年間30本ほどが実施されている。
 どの旅にも、介護スキルなどを持った専門家が添乗するから、お客様やそのご家族の大きな不安のひとつを解消してくれる。
 ほとんどのスタッフが、バリアフリートラベルデスクに配属されると、ホームヘルパー等の資格を取得するのだという。お客様の気持ちを理解するために大切という面もあるが、なにより、実際に旅に同行した時に、お客様に安心感を持っていただけるメリットが大きいようだ。
 「温泉旅行に参加されるご夫婦には、怪我でもしたらみなさんに迷惑をかけてしまうからと、せっかく温泉に来たのに、遠慮される方がいらっしゃいます。でも、資格者が同行しているのを知って、安心され、温泉に入るということも、よくあります。同行されたご家族の方もゆっくりと温泉に入っていただけて、皆様が旅を存分に楽しんでいただけることにつながります」と、納得できるエピソードを教えてもらった。

Categories: 介護

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