子育ての第一歩

私は助産師として、日々お母さんたちからさまざまな相談を受けます。私も育児を経験しましたが、子育てには悩みがつきものでした。
相談を受けていると「もう少し気楽にしたら良いのに…」と思うことが多く、子育て真っ最中の お母さん、お父さんがいかに敏感で、手抜きをしない (できない) でいるのかがよく分かります。

地域ぐるみで子育てをしていた昔とは違い、現在はその変化に応じた子育て支援をしていかなければなりません。ただ、唯一今も昔も変わらないことは「フルタイムマザー (子育て専業) は次世代を担う子どもを育てる大切な仕事であり、子育てには本来フルタイムマザーが必要」ということです。
私はフルタイムマザーを応援したいと思って子育て支援を始めましたが、これから少子・超高齢時代を迎え、就業者のマンパワーが必要となり、働く母親がますます増えるでしょう。この状況下で子どもたちをどう育て、守り、きちんと自立させるか、これが地域社会の重要な役割となるのではないでしょうか。
このような意味を踏まえまして、今後コラムを書かせていただくことにしました。
よろしくお願い致します。

「子どもの精神力」(石田一宏 / 精神神経科医) という本に生きる力のチェックポイントとして、次のように書いてあります。

① 好奇心が発達段階相応に育っているか
② 安心感を感じているか
③ 感動できるか
④ 自分の頭で考えることができるか
⑤ 自分のことを「好き」と思っているか
⑥ 自分の身体の健康が守れるか

ひとつひとつ冷静に我が子について考えてみてください。どうですか?
これは乳幼児にはまだ④⑥などは無理でしょう。これらの中で一番大切なのは②ではないでしょうか。つまり我が子が毎日「安心」して過ごすことができているかどうかです。では「安心」とはいったいどういうことでしょう。それは「ここにいていいんだ」「自分は愛されて大切にされているんだ」という「自信」です。そして青少年の発達においては、この「安心感」が「存在感」としての心の基本となり、この「存在感」を感じられない子には問題行動が見られると言われています。

私は母親教室で小児科医の仁志田博司先生の「子育ての第一歩は、我が子に“この世で自分を一番愛してくれて大切にしてくれる人がいる”と安心させることである」という言葉を紹介しています。
あなたのお子さんは生まれてすぐにどんな気持ちだったと思いますか。
きっとあなた (母親) は「あぁ、やっと産まれてよかった〜」「しんどかった〜」「疲れたけど無事に産まれたわ〜」と安心されたことでしょう。
ところが赤ちゃんの方はというと「びっくり ! まぶしい ! 不安 ! ここはどこ ? 」と思ったのではないでしょうか。
これは、お母さんのお腹の中 (子宮内) で赤ちゃんは 10 ヶ月間も子宮という袋で守られていたわけですが、この世に生まれてくるとすぐ守ってくれた子宮の袋がなくなります。だから赤ちゃんはまず「不安で不安でたまりません」。
さぁ思い出してください。間もなく赤ちゃんを抱きませんでしたか。そうするとやがて赤ちゃんは泣きやみませんでしたか。
そうです、これなのです。つまり赤ちゃんはお母さんの胸に抱かれ「安心」して泣きやんだのです。

何故でしょう。

赤ちゃんは子宮の中で子宮という袋に守られていました。そしてお母さんの心臓の音 (心音) や血液の流れる音 (血流音)、話す声を聴いていました。生まれてすぐにそれらが全くなくなるのでとても「不安」です。しかし、おかあさんの胸に抱かれると「抱く」ことで子宮の袋、胸から感じる心音、お母さんの話す声を聴き、子宮の中と近い状態になるので「安心」するのです。

人間は生まれてすぐには自分で歩くことができません。子宮外胎児期といって育てる (保護・哺育する) 人を必要とします。そして子宮外の環境に徐々に慣れさせる時期でもあります。ここで「安心していいよ、ここは恐くないよ」と思わせる必要があるわけですね。それが「子育ての第一歩」なのです。

ここまで読んだらどうやったら「安心」させることができるのかわかりますね。そうです、抱いてあげたり、そばにいて一緒に寝てあげる (添い寝や添い乳をしてあげる) ことですね。これをしっかりしてあげることで「安心感」が育ちます。
もしチェックポイントで少し不安な項目があった方は「ママはあなたが大好き」と抱いてあげたり、一緒に寝ていない方は、今夜から「添い寝」をしてみませんか。子どもの様子がきっと変わるはずです。

Categories: 医療従事者

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