【4日おくれの定期便 あらためて、資金不足を考える】

先日、ある被災地支援団体の事務局から「活動内容縮小のお知らせ」が届きました。
活動資金に見通しが立たなくなったとのこと。私は以前、その団体の出版物に被災地レポートを寄稿させて頂いたこともあります。支援に対するスタンスも自分とかなり近いものを感じて応援していただけに、少なからず衝撃を受けました。

震災から1000日が過ぎました。いまだに28万人近くの人々が避難生活を続けています。現地ではいまだ震災遺構保存の見通しさえ不透明、支援内容の質的変化はあるものの、まだまだ継続していかなければならない状況に変わりはありません。

ですが支援に関わる皆さんから「ニーズはあるのに資金不足・人材不足から支援構想を断念・縮小せざるを得ない」という声が多く聞こえてきます。

観光で使う宿が不足、宮城では再開率2割弱

被災地を訪れる観光客が減っているのは、私自身の実感からも間違いないところです。たとえば三陸沿岸には、規模も立地も様々な「復興商店街」が点在しますが、今年訪問したいくつかの商店街では昨年と比べ客足に歴然とした差があり危機感を覚えました。実際、観光庁の「宿泊旅行統計調査」のデータからも、震災前と比較して観光客が戻っていないことがわかります。

 

 

これには宿泊施設の不足も大きく影響しているようです。震災後の復興事業による宿泊需要の増加に宿泊施設の再開が追いつかず、地域によっては観光目的の宿泊予約が困難な地区もいまだに存在します。民間レベルでの社会インフラの整備はまだまだ途上と言わざるを得ません。

 

経済の循環のために

震災により地域コミュニティの存続が危ぶまれている石巻市・雄勝地区で、地域資源を活かした新たな産業と雇用の創出とコミュニティーの再生を目指し立ち上がった「雄勝アイランド構想」。事務局を担当する(社)東日本復興支援機構の平手秀夫・代表理事は言います。

『支援が必要な方も支援にご協力頂ける方も、双方にメリットがある支援策であれば継続できるに違いない』

県外から「そこに行きたい!」あるいは「その支援プロジェクトに参加したい!」と多くの人が思うような魅力あるインフラの整備、プロジェクトの内容があってこそコミュニティの再生の道筋がみえてくるのであり、その結果として雇用の創出も可能になる、ということなのでしょう。しかし、ここでも資金問題は避けて通れません。少数の企業から多額の援助を受ける、などというスキームは今や現実的ではなくなりました。情報拡散と資金集めの工夫が必要で、ネット上で個人単位で資金提供を募る「クラウドファンディング」などの活用はようやくその緒についたばかりです。

でも、余りじっくりと構想を練っている余裕はありません。平手氏は続けます。

「被災地で事業の復旧・再建を行う大きな問題点が、震災後の“取引ブランク”です。特殊な商品でない限り、被災地以外で必ず“同一商品”は存在するので、再建が遅れるほど震災前の取引先は他社へ移ってしまいます。まして福島は原発問題があるので、農作物・水産物等は確実に敬遠されます。
小規模でも良いので一刻も早く復旧に着手して、取引先の確保をと現地の方々へ訴えてきましたが、それぞれが事情を抱えていて思うように進みません」

被災地の事業復興・展開は「風化」という社会科学的な側面だけでなく「純粋な経済原理」でも動いているのだ、という当たり前のことに改めて気づかされます。「風化の防止を!」と叫ぶだけでなく、「被災地の経済を循環させるために自分に出来ることはないか」を考える必要があるようです。

それは「資金を引っ張ってくる」などという大きなことである必要はありません。現地の商品に関心を持ち、出来る範囲で購入し周囲に紹介する、そんなささやかなことでも皆が意識し実行すればその「さざ波」は静かに拡がっていき、現地で奮闘する人々の力にきっとなるはずです。

周囲を巻きこむ「温かい視線

もちろん被災地の外で行動をおこすことは今まで以上に大事になってきます。
そんなアクションの中でも「自分たちが楽しむことで、周囲も巻き込んでいく」好例としてフットサル愛好グループ「アーザフット」の「東日本大震災チャリティーフットサル」をご紹介したいと思います。

震災発生からわずか2週間後に第1回が行われたチャリティーマッチも先月で9回を数えます。男女問わず、大人から小さな子どもまで入り混じり、さらに楽しい企画まで織り交ぜて義援金を募り、被災地のサッカー協会を通じて少年団の活動費を援助しているとのこと。外部メンバーや用具メーカーなども巻き込んで継続する活動に深刻な印象はあまりありません。ですがそこには被災地の状況を思いやる、とても温かい視線を感じます。同じ国に住む、同じスポーツを愛好する仲間、同志としての連帯意識のようなものでしょうか。
代表のひとりジュン氏は言います。「私たちのように趣味レベルでも支援はできるんだという風に受け止めてもらって、それが広がってくれたら嬉しいです」

「それぞれの心のなかに、身の丈にあった支援の灯りをともす」それが今、私たちにもっとも求められていることではないでしょうか。

一般社団法人 雄勝アイランド構想協議会
アーザフットの活動日誌 第9回チャリティーマッチ

Categories: オピニオン

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