訪問歯科診療という考え方

訪問歯科診療とは

介護保険施行以来、介護に関するサービスの提供が、 要介護の高齢者の増加とともに増えてきました。
医療業界では往診等の対応がそのニーズとともに増えていき、 歯科業界においては、施設や在宅における歯科診療を行う歯科医院が増えてきました。

訪問歯科診療とは重度の病気や怪我などの原因で、 通院することが困難な寝たきりの方に関して行われる診療です。
要介護高齢者の多くは歯科的な問題を抱えているにも関わらず、これまでの外来での歯科受診は70~74歳をピークに、その後急速に減少する実態がありました。歯科治療をはじめとする口腔機能の維持管理は、食べるという機能ばかりでなく、生きる力やQOLの向上に寄与することが明らかになってきました身近なかかりつけの歯科医などに相談し、外来受診が困難な場合であっても、治療をあきらめないことが重要です。
訪問歯科診療においては、むし歯、歯周病、入れ歯等の治療はもちろんのこと、 口腔ケアや嚥下訓練なども行っています。

むし歯と歯周病に代表される歯科疾患は、放置されると歯の喪失を引き起こし、咀嚼機能をはじめとする口腔機能の低下を招きます。しかもこの歯の保存状況と咀嚼機能の回復は、食べることの楽しみなどQOLに関連するばかりでなく、全身の健康と生命予後にも影響することが、最近の調査で明らかになってきました(Fukai,K et al., 2007, 2008)。
ところが、80歳高齢者で20歯以上の歯を保有している者の割合は約20%に過ぎず、多くの高齢者が義歯など咀嚼機能の回復が必要とされています。そして、要介護高齢者など通院や医療機関への搬送が困難な場合に行われるのが、訪問歯科診療です。

高齢者の歯科受療状況

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(2005年厚生労働省患者調査)

歯科医療は外来を中心に行われ、その年齢階級別歯科受療率は、70~74歳をピークとして、その後は急速に低下します(厚生労働省患者調査、2005)(図1)。

咀嚼の機能と老化・認知症との関連性など、口腔環境がお年寄りの全身の健康と密接に関連していることが、近年明らかになってきました。
細菌の塊である歯垢は、ムシ歯や歯周病の直接的な危険因子であると同時に、全身疾患を引き起こす菌の温床としての役割を果たす可能性が高いのです。口の中の細菌が関与すると考えられる代表的な全身疾患としては、

・感染性心内膜炎、敗血症
・虚血性心疾患
・誤嚥性肺炎 

などがあげられます。

要介護高齢者は、健康な人にとっては病原体とはいえないような細菌によって、感染性心内膜炎や誤嚥性肺炎に陥ることがありますが、口腔ケアを行えばこれらの疾患を予防できることが分かってきました。
つまり口腔ケアは、単に歯や歯ぐきのためだけではなく、生活援助に加えて全身疾患の予防など、生命の維持・増進に直結したケアでもあるのです。

セルフケアとプロフェッショナルケアをうまく両立させられれば、生きる力、心の豊かさを持続させ、身体的、精神的な健康、真の健康を目指していきましょう。

Categories: 歯科

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