薬をより安全で効果的に使うために

みなさんはお薬手帳というものをご存知でしょうか。お薬手帳とは、調剤薬局や医療機関で出された薬の履歴を記録する手帳で、調剤薬局にて無料でもらうことができます。多くの場合、処方せんと一緒に調剤薬局に提出すると、処方内容がシールの状態で印刷されたものが発行され、簡単に記録を作ることができます。
私は病院に勤める薬剤師です。薬剤師は薬を患者さんに渡す際、過去の診療記録などを確認して安全で効果的に使用できるかどうかを判断し、必要に応じて医師と協議を行っています。
東日本大震災の後、私は医療救護班として医師・看護師と共に東北地方のとある病院で業務のお手伝いをさせていただいた経験があります。患者さんたちは、かかりつけであった医療機関に必ずしも受診できない状況になっていました。この経験から、診療記録がない状況でも患者さんが「お薬手帳を持っていたら、医療従事者が処方内容を確認する事ができ、今までの治療経過の推察に役に立つのではないかと思うようになりました。
災害は起こらないことが望ましいのは言うまでもありません。しかし、日常生活においても、夜間や旅行先で子供の体調が悪くなり受診する時やドラッグストアでの市販薬購入の時、引っ越し先で新しい医療機関に受診する時など、いつでもどこでも患者さんと医療従事者の間で情報を共有できるお薬手帳を持つ事は有用であり、お互いに心強いことだと思います。

現在日本には、医療用医薬品として約1万8千の薬が存在しており、
これらの中から薬剤師は次の情報について、確認を行っています。

● 薬剤師がお薬手帳から読み取る情報
1. 相互作用について
現在使用している薬と相性が良くない薬や、病気によっては使用を控えた方が良い薬などを確認します。

2. 重複投与について
最近では後発医薬品(いわゆるジェネリック医薬品)や配合剤(2種類以上の薬が1つの薬にまとまっているもの)も多く使用されています。商品名は違っても、同じ成分が含まれている薬もあるため、重複して使わないように確認を行います。

3. 薬品アレルギー・副作用について
記憶があいまいな時や、万が一倒れてしまって意識がはっきりしない時でも、アレルギーのある薬や副作用がでたことのある薬と同じ成分や似た成分が含まれる薬が投与される危険性を回避できます。

4. 休薬期間について
薬によっては、毎日使用しなくても1週間に1回あるいは月に1回飲めば良いものや、2週間飲んだらしばらく休むといった使い方をする薬もあります。

入院して治療を受けている患者さんは、すぐ近くに医療従事者がおり、日々チェックを受けることができます。しかし、外来で治療を受けている患者さんをチェックすることができるのは、他ならぬ患者さんご自身やそのご家族なのです。調剤薬局で処方内容のシールを貼るだけでも、十分な記録となりますが、日々の臨床業務で得た経験から、さらに効果的に利用するための工夫を紹介したいと思います。

● お薬手帳に追記しておくとよい情報
1. 薬を使用した時の体調の変化
例)○月○日お腹が痛くなった
→△△錠という薬を飲み始めてから□□日後だから、薬の副作用かもしれない
例)○○錠を1日3回飲むと痛みがほとんどなく生活できる
→〇〇錠を飲む頻度が多いのであれば、効き目が長い□□カプセルに変えてみよう
痛い時だけ飲むように指示された薬などは、実際に使用した日時を記載しておくと効果判定に役立ちます。

2. 検査値
当然のことながら、血圧の薬は血圧をみながら、血糖値を下げる薬であれば血糖値を見ながら薬を調節します。効果が十分であれば薬を減らしたり、効き目がなければ他の薬に変えたりする判断材料になります。

3. 薬を使い始めた日、中止した日
処方内容のシールは、薬を出された日はわかりますが、実際に薬を使い始めた日や中止した日が異なることもあります。上述した「休薬期間について」の確認にもつながります。

4.医師や薬剤師に対して質問したいこと
実際に患者さんから健康食品やサプリメントと薬の飲み合わせについて聞かれることがあります。薬によっては飲み合わせのよくないものもありますので、私たちからも質問させていただいていますが、普段から摂取している健康食品などがある方は、伝え忘れのないように記載しておくことをおすすめします。

医療技術の発達により、新しい薬が次々と使えるようになってきています。その一方で、私たち薬剤師は患者さんがいつも安全で効果的に薬が使えるように情報を集めながら業務を行っています。患者さんからのちょっとした一言が、ぐっと有用な情報につながることがあります。是非、私たちと一緒に薬と上手につき合える環境を作っていきましょう。

Categories: くすり

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