入院中に、ご家庭と異なる病院の環境が転倒につながり、思わぬ事故になることがあります。“転ぶ”と聞いて足腰の弱い高齢の方、身体の不自由な方の問題だと考えるかもしれません。しかし、若く体力のある方であっても、治療あるいは検査のために使用される薬による眠気、ふらつきなどにより転倒のリスクが高くなる場合があります。転倒による骨折などのケガにより、検査や治療の継続が困難となってしまうだけでなく、時にはその後の生活の質を低下させてしまう可能性さえあります。
ご自分あるいはご家族が病院に入院したことのある方は、入院時にどのような物を用意しましたか?一般的な入院時の持ち物として、洗面用具、上着、下着、寝巻き、上履き、タオル、バスタオル、ティッシュペーパー、湯呑み茶碗、常用薬、お薬手帳などがあります。入院が決まった後に必要なものを購入したという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
入院の理由は検査や手術などさまざまかと思いますが、入院中は体力の低下や筋力の低下から、普段は大丈夫な動作でも思わぬ転倒につながることがあります。治療あるいは検査のための薬が影響することもあります。そのようなヒヤリとする場面を減らすために、足元に気を配ることは、基本的で大切なポイントとなります。
入院時の持ち物として紹介した“上履き”ですが、どのような履物を想像しますか?
“スリッパ”を連想する方、“サンダル”だと思う方、“スニーカー”がいいと考える方、人によって違うのではないでしょうか。
転倒を予防するためには、こんな靴がおすすめです。
● つま先とかかとが覆われている
● 底がゴム製
● サイズが合っている
● ヒールが高くない
● つま先がやや上がっている
● 軽くて脱ぎ履きしやすい
入院中はベッドの上で過ごす時以外はお持ちいただいた靴を常に履くことになります。床の素材、ベッドの高さ、廊下やトイレの広さなど、ご自宅とは環境が違いますので、慣れた履物をお召しいただくことをおすすめします。
湯呑みや箸、財布、携帯電話を入れることのできる巾着袋を使用し、両手を使えるようにしておくことで、いざという時に手すりなどをつかむことができますので持ち物のひとつに加えることもおすすめです。
入院時の持ち物ということでお話しましたが、転倒を予防するためにおすすめの靴や、両手を使えるようにしておくことなどは、普段の外出時にも参考にしていただければと思います。
今年の冬は、私の住む関東でも例年にない量の雪が降りました。慣れない雪道の中、めったに履かない底がゴム製で溝のしっかりと刻まれた靴を履き、ショルダーバッグを肩から斜めに掛けて、時折滑りながらもなんとか転ばずに歩いて出勤することができました。
天気が悪い日の外出用としても、今回紹介したような靴をひとつ用意しておくことをおすすめします。