「育児」の意味は・・・

20年も前ですが、小児科医の仁志田博司先生の講演で、日本語の「育児」とは、「育む(はぐくむ)」と「育てる」という二つの意味があるということを聴きました。
「はぐくむ」とは、まさに親鳥が羽でひなを覆い包み育てるように、かばい守るという意味です。そして「育てる」とは、養い成長させることであり、巣立つよう、つまり自然に自立するようにしてやるということです。

子育てについての本「甘えのルール」(信千秋著)の中に、「教えること」と「育てること」の違いが書いてあります。 「教える」ということはすさまじいスピードで進化し、知能教育がものすごい発展を遂げたのは、教育は「効率」を持ち込める世界だからと・・・。
一方「育てる」というのは、言葉をかけたり触ったり、世話をしたりと、およそ効率とは対局にあって、手間暇がかかることで、しかも実績や評価が数字となって表れるものでもないとあります。

広辞苑で「教える」を調べてみると、『注意を与えて導く、さとす、戒める』とありました。これは「教育」とは必ずしも知能教育だけを意味するのではなく、目的・目標に導くことという意味もあるということです。
しかし現代は「教育」=「知能」が重んじられ、それも早くから求めています。
それが子どもにとってよいと信じているのです。

「知的教育」を全く否定するわけではありませんが、「育児」=「心の耐性」が不足しているところに、さまざまな問題があると思われます。
「知能」ありきの「育児」は心が不安定になると信千秋先生もいわれているように、「育児」つまり「はぐくむ」「そだてる」ことがしっかりとされた上での「知能・知性」は心が安定し、世の中で自立して生きていけるのだと思います。

近年、学力低下の問題が言われていますが、それは「育児」からつながっている問題なのではないかと感じます。
育児をスタートするご夫婦には、まずしっかり「はぐくむ」ことが大切で、そして生きること(社会生活の基本)を教え導いて欲しいと思います。それができていない「知的教育」は危険が潜んでいると感じているのは、私だけではないでしょう。

Categories: 医療従事者

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